ゲーム音楽

交響組曲ドラゴンクエスト6の魅力について語る

投稿日:2019年5月12日 更新日:

一番最初にゲームのCDを買ったのが交響組曲ドラゴンクエスト6で、当時中学生だったと思いますが、本当に強烈な衝撃を受けたのを覚えています。ゲーム内で何気なく繰り返し聴いていた音楽が、芸術作品として力強く、豪華に生まれ変わっていて、圧倒されました。オーケストラというものに興味を持つきっかけにもなりました。

こういう思い出補正もあって、一番好きな交響組曲ドラゴンクエストはこの6なのですが、今他のシリーズを含めて聴き返してみても、やっぱり交響組曲ドラゴンクエスト6が最高だなと個人的には思います。ということで、いくつかの楽曲をピックアップし、ゲームの内容と絡めながら音楽の魅力を書いていきたいと思います。

目次

序曲のマーチ

皆さんご存知の通りドラクエの序曲は作品ごとに少しずつ差異があるわけですが、DQ6のバリエーションが私は一番好きですね。

イントロのファンファーレはDQ4~8で共通の、ソの音を連打するもの。私の中では、ドラクエと言ったらこのイントロというイメージです。

メロディをホルンとトランペットが交互に奏でるのですが、これが好きなんですよね。ホルンの抑えた音色が最高です。DQ7や8のようなトランペットの高音に比べると控え目な印象なのですが、洗練された大人の雰囲気があります。

王宮にて

お城の曲です。短調のお城の曲はDQ1,4に続き3曲目。弦楽器だけで演奏されていることもあり、厳粛で格調高いイメージの曲です。

DQ6というゲームは全体的に暗いというか、厳粛な雰囲気を感じさせるのですが、その一因となっているのがこの音楽のような気がします。例えばムドーを倒してレイドック城に帰ってきたシーン。この場面の音楽が別の明るい曲だったとしたら、手放しでムドーを倒した喜びに浸れるところですが、実際はこの「王宮にて」が使用されているので、喜びというよりはむしろ次の冒険に向かって身が引き締まるような思いを新たにすることとなります。

グレイス城や下の世界のダーマ神殿といった廃墟となっている城でもこの曲が使われていて、全く違和感がないのもこの曲の持ち味を発揮している点ですね。

ムドーの城

曲名は「ムドーの城」ですが、ムドーの城で流れているのは別の曲で、これはムドーなどの魔王のフロアや狭間の世界のフィールドで使われている曲です。

SFC版では主旋律を木管楽器、対旋律を弦楽器という組み合わせで担当しますが、オーケストラ版ではどちらも弦楽器という構造。弦楽器のアンサンブルという点ではお城の曲「王宮にて」と共通していて、正と邪の対比になっている印象があります。そう考えると、曲名が「ムドーの城」となっているのもあながち単なるネーミングミスではなく、意図があってのもののように思えてきます。

戦慄のとき

ムドーの城で流れている曲がこれです。前衛音楽の極致と言うべき曲です。DQ6になってゲーム内でのサウンドの質が大きく向上したことがこの曲の誕生に寄与しているのは間違いないでしょう。

低音で時を刻むように響く4分音符の不協和音と、高音で不規則に鳴る16分音符や32分音符の装飾音。高音部は時折エコーがかかったように同じ音型が繰り返され、これによって空間の広がりを演出しています。ちなみに、高音部をよく聞いていると、呪文を唱えたときのSEも聞こえてきます。

この曲もSFC版とオーケストラ版でかなりアレンジが異なります。SFC版だと高音部は主に弦楽器が担当していますが、オーケストラ版だと吹奏楽器や鉄琴・木琴が使われています。まあ弦楽器であの装飾音符を実際に演奏するのは無理ですからね。

迷いの塔

前衛的な音楽の多い塔の曲の中でも、この曲は特に突出していると思います。そして、私自身大変好きな曲でもあります。

最大の特徴は変拍子の多さ。実際どのようになっているのかはこの動画を見るとよくわかります。

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基本は4/4なのですが、7/8とか5/8みたいに4/4が欠けたような形の拍子が登場してくることで、疾走感というか、緊迫感が生まれています。

これもまたSFC版とオーケストラ版で相当アレンジが異なります。SFC版は電子音みたいなのを使っていて、ドラムセットも加わってロックっぽいアレンジ。一方オーケストラ版は木管楽器だけを使ったアンサンブル。オーケストラ版は苦肉の策といった印象を受け、正直SFC版の方が私は好きです。DQの音楽は、最初からオーケストラを意識して作曲しているとすぎやま先生は語っていますが、この曲ばかりは先にSFC音源の特性を念頭においた創作だったのではないかと思えますね。

エーゲ海に船出して

名曲です。私がDQ6を好きな理由はこの曲にあると言っても過言ではないほどに気に入っている曲です。

海の持つ、壮大でどこかセンチメンタルなイメージを、繊細なメロディで歌い上げた1曲。曲調も変化に富んでいます。序盤は希望と不安を胸に船出する様子、中盤は航海も軌道に乗って力強く推進していく様子、終盤は停泊地で楽しく休憩する様子、といったイメージを私は持っています。オーケストラ版ではこの後2周目に入って、3連符の伴奏とホルンの対旋律が加わることで、荒波の中を果敢に突き進んでいくような印象に変わります。

この1曲に色々な要素が詰め込まれていて、小出しにすれば2、3曲くらい作れてしまいそうなほどです。非常に豪華で、きらびやかな音楽だと思います。

要所で使われるハープの音色も印象深いですね。DQ6にはマーメイドハープというアイテムが登場するわけですが、マーメイドハープを使ったときのMEと、この曲の相性は抜群に良いです。ハープによって紡がれるゲームと音楽の美しいハーモニー。人魚や海底といったインパクトのあるイベントの数々とともに、多くのDQ6プレイヤーの脳裏に焼き付いていることと思います。

空飛ぶベッド

空飛ぶベッドという奇抜な曲名。その中身も、シロフォンがメロディを奏でるという一風変わった音楽になっています。同一の高さの音を小刻みに連打する、いわゆるトレモロという奏法が多用されていて、軽妙さをもたらしています。

伴奏にセブンスコードが多用されているのも特徴ですね。爽やかな曲調なのにどこかすっきりしないところがあり、もやがかかったようなイメージを持ちます。これは、ベッドで空を飛ぶという不思議さ、また空飛ぶベッドが登場する幻の大地の世界観とも一致していると言えると思います。

神に祈りを

DQシリーズ初登場となる教会の曲です。DQシリーズに登場するもう一つの教会の音楽はDQ8の「讃美歌に癒されて」ですが、こちらはリラックスした音楽なのに対して、「神に祈りを」はかなり厳かなムード。近年のDQで採用されている教会の音楽は「讃美歌に癒されて」の方ですが、私の好みはどちらかというと「神に祈りを」の方です。

ゲーム中ではパイプオルガンバージョンと弦楽器バージョンの2つがあって、前者は教会で、後者はマーズの館などの神聖な場所で流れています。オーケストラ版では、1周目は管楽器、2周目は弦楽器でのアレンジとなっていて、ゲーム中に2バージョン存在することを意識した構成になっているように思います。

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DQライバルズを中心に攻略していました。