こんにちは、けい坊です。
HD-2D版DQ2を真のエンディングまで含めてクリアしました。プレイ時間は、初回クリアまでが24時間54分、真のエンディングまでが32時間19分。一言で言って神ゲーだったと思います。
前回のDQ1の感想に続いて、DQ2の感想も書いていきたいと思います。初回クリア後の感想については、シリーズの核心に迫るネタバレが含まれるので改めて別記事に書くこととして、本記事では初回クリアまでに限定した感想のみを書くことにします。
ストーリー
ストーリーのベースラインはオリジナルのDQ2と同じ。ただ、オリジナル版と同じだと思って進んでみたら全く違うイベントが発生するといった予想を裏切る展開も結構多くて、それが古参プレイヤーにとっては心地よいアクセントになっていました。さらに言えば、オリジナル版と違う展開だなと思いながら進めていくと、最終的にはオリジナル版と同じ場所に収束するといった仕掛けもあって、裏の裏をかくようなシナリオ作りがうまいなと感じました。
具体的な例を挙げると、例えば水の紋章に関連するイベント。やまびこの笛を入手した直後にムーンペタに行って笛を吹いても何も反応せず、あれ?と思わされます。しかし、その後ストーリーを進めていくと盗賊の噂を聞くことができ、さらに進めるとムーンペタの地下で水の紋章を入手できるという結末になるのですが、この場所はオリジナル版で水の紋章が落ちていた場所と同じ。このようにHD-2D版とオリジナル版が同じ地点に収束していく感じが心地よく感じました。
オリジナル版ではやや存在感の薄かったアレフガルドの地にメインシナリオ上の意味を持たせているのもよかったですね。特にロトの剣に関するイベントはよかった。年月を経て錆びついているという設定により攻撃力が低いことの説明を加えつつ、闇を払う能力を持たせたことでその神聖な力を顕示しているのが秀逸でした。
あとは何といっても仲間たちの会話シーンの数々。オリジナル版ではほとんど仲間との会話はなかったので新鮮でした。最初は復讐心に駆られて神経質な言動が目立ったムーンブルクの王女が、仲間との対話を通じて明るく前向きになっていく変化もよかった。DQ2の楽しい雰囲気を形成しているのは仲間との会話シーンによるところが大きく、孤独な旅であったDQ1との対比になるとともに、力による支配の副作用で仲間割れを繰り返すハーゴンの軍勢に対するアンチテーゼにもなっていました。
他にもハーゴンや竜王、精霊ルビスにまつわる様々なストーリーが追加され、DQ1や3の世界とのつながりを示唆するものでしたが、初回クリア後のイベントとも関連するのでこれはまた別の記事にします。これだけ多くの要素が追加されたにもかかわらずオリジナル版のストーリーとは矛盾することなく、不自然さもなく、やりごたえのあるボリュームでまとめ上げたシナリオライターの手腕に拍手を送りたい。懐かしさと新しさを兼ね備えた新生DQ2として非常に完成度の高い作品だったと評価します。
ゲームシステム
基本的なシステムはHD-2Dの前身であるDQ3と同じ。ダメージ計算式に関しても何度も言及しているのでこれ以上は言いません。パラメータの微妙な変化が勝敗を分けるDQ1とは違って、DQ2はある程度アバウトでも大勢に影響ないので、ダメージ計算式の複雑さが弊害をもたらすことはあまりありませんでした。
あらゆる地点がルーラ登録されるというシステムによってゲームのプレイ体験が大幅に変わったことは特筆すべきでしょう。ローレシアの城とザハン付近の島のほこらをつなぐ旅の扉は、オリジナル版ではこの先訪れるであろう未知の島を垣間見せて冒険の期待感を高める効果がありましたが、今作では旅の扉で移動した瞬間にルーラ登録されるためそのような効果はなくなりました。到達するのが容易になったことで、ザハンにもメインシナリオ上の重要なイベントが配置されるなど、もはや隠された秘境といった印象はなくなりました。
ルーラで自由に飛び回れるようになったことで、旅の扉の意義もかなり失われたように思います。オリジナル版では移動のショートカット手段として旅の扉を活用できたのですが、一度でも訪れた場所であればその必要はなくなりました。実際、旅の扉の設置箇所もオリジナル版から削減されてしまいました。
ゲームバランス
ゲームバランスが破綻することもなく、全体的にはよい塩梅だったのかなと思います。ただ、少し気になる点はありました。
1つは雑魚敵の経験値です。中盤までは雑魚敵から獲得できる経験値はやや控えめで、多くても1戦あたり1000に届かないくらいなのですが、終盤に差し掛かったくらいから急激に増え始め、ロンダルキアへの洞窟あたりまで来ると1戦あたり4000~5000くらい獲得できます。中盤はストーリー進行の順序に自由度があるため、その段階では経験値を抑えておくことで極端に難易度が変動しないようにする意図が透けて見えます。ストーリーの分岐が合流してから一気に経験値を増やして帳尻を合わせるというのもやや強引で、うまくゲームバランスを取ったというよりは無理やりゲームバランスを作り出しているようにも感じました。
もう1つは全体攻撃呪文が強すぎることです。特に終盤で覚えるギガデイン、イオナズン、マヒャドですね。中盤までは雑魚敵との戦いに緊張感があり、いかに被害を抑えて倒すかを考えて行動を選択していくのが冒険の醍醐味でしたが、これらの呪文を覚えたあとは何も考えずに連打するだけで殲滅できてしまうため、緊張感がなくなってしまいました。
一方、ボスとの戦いは十分楽しめるものでした。サマルトリアの王女がさまざまな補助呪文・特技を習得でき、戦術の幅が広がりました。新加入した彼女を活躍させられるかどうかが攻略の鍵となるボスが多い印象で、名実ともにHD-2D版DQ2を象徴する存在になったように思いました。
音楽
東京都交響楽団による心を揺さぶるようなオーケストラ演奏は圧巻でした。
DQ2はDQ1の未来の物語ということでポップス寄りに作曲したというのはすぎやまこういち先生が後に語った有名なエピソードですが、ポップスそのものである「Love Song探して」を除けば、ポップス的な曲調がよく表れているのが「街の賑わい」「果てしなき世界」の2曲だと思います。これらの曲はDQ2の明るく楽しい雰囲気を引き立たせてくれています。オーケストラの演奏によって一層華やかさを増し、いつも楽しい気分でゲームに没頭できました。
海の曲である「海原を行く」も印象的な一曲でした。今作のフィールドマップは海底エリアが追加されましたが、海底の浅い層では「海原を行く」がやや小さいボリュームで流れ、深い層に行くと完全に無音になるという演出になっていました。もしすぎやま先生が存命ならきっと海底専用の新曲を書き下ろしてくれていたに違いないと寂しい気持ちもありつつ、そんな中でも工夫を凝らしていることが感じられて好印象でした。
他作品から流用された曲も多数ありました。DQ1でも使われていた「まどろみの中で」「回想」「塔」のほか、「幽霊船」も沈没船などのダンジョンで流用されていました。実は初回クリア後の世界ではさらなる音楽の流用もあったのですが、それはまた別の記事で触れたいと思います。
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